能のように観よ〜「シャイニング」スタンリー・キューブリック監督

nankado
Jul 23, 2021

2021/07/24
立川シネマシティ「シャイニング」スタンリー・キューブリック監督、1980年。
ほんとうに劇場でかかるのはかなり久しぶり、ことによっては数十年ぶりではないか? 自分もビデオでは何度か再見したが、劇場で観るのは封切り当時以来だと思う。
封切り時とは異なる北米公開バージョンで、話に聴いていた蜘蛛の巣だらけ、骸骨だらけのボールルームのシーンもきちんと確認できた。
ドクター・スリープなど続編も通過したあとで、あらためて再見すると、人間ドラマを描きたかったスティーブン・キングと、アメリカ的なゴシック様式美ホラーを構築したかったキューブリックの違いが感じられた。
いま映画として観るとやはり少し古さも感じてしまうし、ドラマとしての構成は、確実にキングのほうが優れているのだが、画面構成と能楽のような様式についてはキューブリックの映像が屹立している。能のように観るべし。このように観るとなかなか古びない。まさに動きのある写真のような作品(能楽、といえば、おそらくバルトーク部分の劇伴にも拍子木のようなフレーズがあった)。
冒頭空撮シーン、クレジットによればセスナ機ではなく、どうもヘリコプター撮影らしいのだが、ほとんどブレがないのはどうやってるのだろうか。旧邦画の空撮などでは震動しているのだが・・・
シェリー・デュバルはたしかになかば強迫的にタバコ吸っていて、「ドクター・スリープ」ではその後も描かれている伏線になっている。
大雪はたしか塩を使っていたという話だが、そう聞いたあとでは量に圧倒される。
劇伴はカラヤン指揮のバルトーク「管弦楽とチェレスタのための音楽」、リゲティ、ペンデレツキ、シンセを使った音楽はウェンディ・カルロス。
双子の娘の幽霊は、ダイアン・アーバスの写真が元ネタだが、アーバスの世界を映画に移し替えたらひょっとしてこんな感じなるのかも。ヒューマンドラマではなく、あくまでもアメリカンゴシック的な様式と構成を描く、動く写真。

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nankado

Interested in old Japanese movies, from Tokyo, JAPAN.