かんぺ大賞2021 候補作品

nankado
Jan 15, 2022

去年もそこそこ映画観に行ったけど、記憶に残るものはやはり限られてくる。

ラピュタ阿佐ヶ谷の地下、ザムザでやっていたレアもの特集にけっこう面白いものが多かった。

「峠を渡る若い風」鈴木清順、1961年。色も語り口も楽しい。

「素足の娘」阿部豊、1957年。佐多稲子の原作を古本屋の均一棚で入手してきた。今では忘れられている。

「おゆきさん」鍛冶昇、1966年。これも原作エッセイを古書で入手。やはり今ではほぼ忘れられた作品。

「街に気球があがる時」井田探、1961年。アドバルーンのアルバイト現場を描く青春もの。

ラピュタ阿佐ヶ谷「おえんさん」1955年、本多猪四郎 監督。築地市場で働く母と息子。人情話のようだが、実は怪獣映画。

シネマヴェーラのソビエト映画特集も面白いものがあった。

「翌日戦争が始まった」ユーリー・カラ 監督、1987年。独ソ戦開始直前のソ連のミドルティーンの学生群像。ナイーブな学生たちが「反動」になってしまう・・・。

「人生案内」1931年、ニコライ・エック監督。舞台は1923年、ソ連成立直後が舞台。戦災孤児を更生させるため、指導者セルゲーエフが自助施設として共同工場をつくり運営させる。

ユーロスペースのイスラーム映画祭、全部観たかったけれども、スケジュール的に果たせず。

「ザ・タワー」マッツ・グルードゥ監督。人形アニメと平面アニメが、現在と過去に応じて交錯する。

「ミナは歩いてゆく」ユセフ・バラキ監督、2015年。アフガニスタンはカーブルの12歳の少女の生活を描く。

シネマヴェーラ 大島渚特集。「愛と希望の街」1959年、大島渚 監督の長編デビュー作品。短時間ながらみごたえのある、社会格差を描いたシビアなドラマだった。

シネマヴェーラ「優しき殺人者」ハリー・ホーナー監督、1952年。ロバート・ライアンはまさにインセルによるフェミサイド犯罪者。社会的男性性に乗り切れなかったために物狂って女性を監禁する。

シネマヴェーラ 「幽霊暁に死す」1948年、マキノ正博 監督。別題「生きている幽霊」。ハリウッド映画「幽霊と未亡人」のフォローのようでもあるが、敗戦3年目でこんなモダンな作品が。

シネマヴェーラ 新東宝特集、「女と命をかけてブッ飛ばせ」曲谷守平 監督、1960年。「ブロメア」の大先輩とも言える快作。なんか細かいプロットとかもうええやろという感じでぶった切って時速150kmで突進している。

新文芸坐のレイトも佳作多かった。

千葉真一 追悼特集「子連れ殺人拳」山口和彦 監督、1976年 たぶん3回目の再見だがやっぱり良い。この作品の主役が千葉真一にもっとも似合った役だと思う。

伊藤大輔 監督特集「われ幻の魚を見たり」1950年。魚の棲まない十和田湖に稚魚を放流して定着させる試みに二十余年を費やした人物の伝記的なドラマ。明治30年代、モータリゼーションもなく舗装道路もない状況で受精卵を運ぶ 想像するだに大変なミッション。

シネマヴェーラ、ロマンポルノ特集 何が出てくるか分からないジャンル。

「少女暴行事件 赤い靴」上垣保朗 監督、1983年。ほぼ同年の高野文子「あぜみちロードにセクシーばあちゃん」で描かれるような田舎から都会へのベクトルを持ったティーン女子と、その悲劇。

「ピンクカット 太く愛して深く愛して」森田芳光 監督、1983年 ロマンポルノにもこんなタッチがあるのか〜とちょっとびっくり 「めぞん一刻」以後のビッグコミックスピリッツの青年マンガにつながるような明るさ。

どれも甲乙つけがたいところもあるが、「われ幻の魚を見たり」を大賞にしたい。

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nankado

Interested in old Japanese movies, from Tokyo, JAPAN.