2021/08/15 「暗黒の恐怖」エリア・カザン 監督、1950年

nankado
Aug 17, 2021

シネマヴェーラ 「暗黒の恐怖」エリア・カザン 監督、1950年。これは面白い! 殺された密入国者はペストに罹患していた。エピデミックの兆しをいち早く察知した公衆衛生局の医師が、ベテラン警部と協力して感染路をつきとめてゆく・・・ という公衆衛生=犯罪サスペンス。今観るべき作品。原題は「巷のパニック」とでも。飲食店、病床など知らずに感染者が濃厚接触したり食品を扱うシーンにはヒヤヒヤさせられる。ラストシーン、死亡が報道されるあの人は、ストーリー中では特に負傷していないので、やはり感染による死亡なんだろうなあ・・・。思い出したのは、アクション映画「ザ・ロック」(マイケル・ベイ監督、1996年)。医学スペシャリストが細菌兵器を使った元軍人のテロに立ち向かうというプロットで、主人公の奥さんが妊娠しているなど、共通している。「ザ・ロック」ではもちろん、細菌兵器、レクター博士的キャラとのバディ、アルカトラスダンジョン攻略など、さらにいろんなプロットを盛り込んでいるが、古典として「暗黒の恐怖」をふまえて作っている部分もおそらくあるのだろうな。

最初に殺される密航者は、アルジェリアのオランから米国にやってきたが、これはカミュ「ペスト」の舞台だなあ。あとペストのことは plague と呼んでいる。冒頭、エピデミックが分かる前、休暇中の主人公がやんちゃな息子に対して「このペスト(疫病神)め!」と悪態をついている。

今回の シネマヴェーラ 「恐ろしい映画」特集ではこの「暗黒の恐怖」と「優しき殺人者」の2本が、現在の問題とも重なっているという意味で、とりあえず必見。

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nankado

Interested in old Japanese movies, from Tokyo, JAPAN.